2007年4月6日金曜日

ダルフール難民への援助 現地報告

世界各地で医療に携わっている方たちの健康と幸せをお祈りします。

世界平和を目指して!

以下、asahi.comより

紛争のつづくスーダン西部ダルフール地方に隣接するチャドで、2006年7月から1カ月間MSFの援助プログラムに参加した臼井律郎医師の報告です。

<紛争による難民の流入>

 2003年、チャドへの難民の流入は、隣国スーダン・ダルフール地方で起こった人道危機の最初の兆候でした。2004年以降、チャドへの難民は20万人、ダルフール内の避難民は200万人を数え、国境なき医師団(MSF)は、スーダンとチャドの双方で活動を続けています。

 今回私が派遣されたアドレは、ダルフールとの国境沿いに活動を展開するMSFのチャド側の拠点のひとつです。アドレの町には、チャド軍兵士が多く常駐していますが、町の周囲にはスーダン政府に支援されたチャド人ゲリラがおり、しばしばアドレを攻撃します。また、国境の反対側のダルフールではゲリラによる戦闘が頻発し、砲撃の音はアドレまで届いてきます。

<アドレにおけるMSFの活動>

 アドレのチームは、6名の海外派遣スタッフを中心として、地域で唯一の手術室を持つアドレ病院に内科医・外科医・看護師や物資を提供し、ダルフール難民や地域の人たちを治療しています。

 また、アドレの町で戦闘があった場合には、多数の負傷者にも対処します。外科チームは、集中治療室、外科病棟と、MSFが設置した外科用テントを受け持ち、外傷や、銃などによる戦傷、腹膜炎など腹部外科、植皮、ヘルニア、包茎、帝王切開など多岐にわたる症例を診察しています。週20~30の手術例のうち、約3分の1が緊急手術です。

 外科以外の病態で多いのは小児の低栄養で、栄養治療食や治療ミルクを用いて対応します。小児の下痢や肺炎も多く見られます。マラリアも多く、ここでは、熱帯熱マラリア原虫(P.Falciparum)による薬剤耐性マラリアと、抗マラリア薬のキニーネが効く三日熱マラリア原虫(P.Vivax)が混在しています。簡易診断キットと血液塗沫標本を組み合わせて診断し治療します。HIV/エイズは、アフリカの他の地域に比べてさほど多くはなく、人口に対する感染者の割合は数%ないし10%以下と言われています。

 MSFは、現場で聞いた患者さんたちの生の声を活動に反映させることで、より必要に見合った、質の高い援助を提供するよう心がけています。世界19カ国にあるMSF支部の会長も、可能な限り現地活動に参加することを申し合わせています。今後も、こうした現地の様子を、ときには、私自らが皆さまにお伝えできたらと考えています。臼井律郎(うすい・りつろう)外科医・国境なき医師団日本会長 1996年より国境なき医師団の活動に参加(スリランカ96・98・04年、ブルンジ01年、チャド06年)。2005年4月からは同日本支部の会長を務める。

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